スタンダードな4種のマジックのワレット~特徴とその機能~
クロースアップマジックにおいて、ワレットは様々な
役割を持っています
サインカードが出てきたり、秘密の情報を読み取ったり
密かに何かをすり替えたり
それぞれの用途のために、様々な仕掛けが施されていますので
適切に使えば非常に強力な武器になるのですが
その適切なタイミングや、仕掛けの特徴を理解してないと
効果が発揮されにくいわけです
マーケットには非常に沢山のワレットが出ていますが
基本的な機構に関しては、思った以上に限られていて
その機構を理解し、向いている状況を理解すれば
新しいワレットであっても、上手く使えるはずです
今回は、カードが移動する、ということに関して使われる
ワレットを取り上げたいと思います
ちなみにですが、ものをスイッチする際に使用する
ヒンバーワレットでも、サインカードの移動などはできますが
メインの機構や現象ではないので、ここでは取り上げません
もしご興味ある方は、研究所のコンテンツを手に入れてみてください
⇒ ヒンバーワレット・コンテンツ
では、まずは・・・
・ルポールワレット
いわゆる、カードインエンヴェロープ、つまりは封筒に通うカード
のためのワレット、と言っていいでしょう
封筒に入れられるような仕掛けがされているものです。
もちろん、封筒に入れないなら、単にワレットのコンパートメントに
移動させるということができますので、後述するカップスワレット
としても活用はできると思います
封筒に入れるための機構が財布の中だけ
ということもありますし
プラスアルファするものもあります
基本的には長財布のものが多いと思いますが
ワレットそのものが小さくなれば、その分だけ
封筒に入れるのも大変になりますのでね
ルポールの機能だけではないのですが
日本のショップでスタンダードに手に入る中では
JOLのワレットが一番高品質かと
⇒ JOL プラスワレット
メーカーであるプロップドックではいくつかの種類があるようですが
他店にもリリースしているものは、1種類だけのようです
これ恐らく理由は簡単で、革を確保するのが難しいんです
なので、一番安定して確保できるものだけ
他店にもリリースしているんだと思いますよ
もう1つお薦めなのは、水沢克也氏の販売している
「STOLT(シュトルツ)」です
ドイツ語で「誇り」という意味で、まさにその通り
どんな人にでも誇れるだけのクオリティになっています。
機構はルポールの機構ですが、革の質と財布としてのクオリティが
マジック用のモノとは段違いで、そこらのハイブランドの財布よりも
上だと思います。
それなりの価格がしますが、現状日本で手に入るワレットとしては
最高品質のものだと思いますので、ご興味ある方は水沢氏の
ツイッターなどでコンタクトをとってみてください
・カップスワレット
サインカードが財布のコンパートメント部分に移動する財布です
ルポールとの一番の違いは、封筒などの中に移動させることは
考えてない機構になっていていわゆるガイドが外側に出てくる
というのが特徴と言えるでしょう
大抵は日本の財布ではあまり見かけないパーツを
ガイドとして利用しています
向こうだと、小切手帳などに見えるものなのではないでしょうか
場合によっては、目立たないような色や形状に
なっていて、視覚的なカバーがされていることもあり
ガイド部分が可動式ではない事もあります
つまりは、デザイン的にカバーされていることも
あります
このガイドがワレットに内蔵されていて、稼働する(ことが多い)
という特徴があるゆえにワレットへの移動が素早く行え
再度ワレットをポケットにしまう際
つまりは速やかにリセットができてしまうというのが
利点でしょう
封筒に通わせようとすると、どうしても準備に手間取ることが
多いですので
「特別な場ではルポール、ホッピングではカップス」
みたいな感覚をお持ちの方もいると思います
サイズ感として、いい感じのものが少ないイメージですので
まずはサイズ的な部分を確認してみてから
購入をしてみるといいでしょう
・マリカワレット
パームなしでサインカードを財布に移動させられるというのが
一番の利点でしょうか
またセットもリセットも特になく、ワレットをポケットに
入れておけばいいだけです
大抵は、財布の中に財布が入っているという
少々奇妙な状況下で現象が起こります
もちろん仕掛けのあるワレットになりますが、全く仕掛けの無い
部分も存在するために、かなりラフに扱えるのもいい点です
見かける商品は長財布のものがほとんどですが
一部2つ折りのお尻に入れる財布の形状の物も
あります
カジュアルな感じになりますので、年齢のお若い方は
こちらの財布を意図的に使うのもいいでしょう
ユージンバーガー氏のDVDでマリカワレットの
サトルティを聞かせた手順を解説していますので
参考になると思います
(手順そのものはデビットパー氏のもので、解説もパー氏自身が行っています)
正直言えば、現場で演じるのならこのタイプのワレットが
一番扱いやすいと思いますし、僕自身も大抵は
このタイプの物を使います
パームもいらず、リセットもいらないという楽さがありますので
(パームができないんじゃないんだからね!)
この手の機構を取り入れている、財布以外のモノの方が
個人的には好みです
神戸の吉良氏のギミックや、小林俊晶氏のモノも使いやすく
男性女性などの性別問わずに利用可能です
⇒ Koba’s 二重封筒
・ベンディックスボムシェル
一番凝った機構になっているワレットと言えるでしょう
メインの機構はヒンバーと同じですが、コンパートメント部分から
サインカードを取りだすことができます
また、カードの移動に関しては、パームを使いませんので
演者側の負担は少ないかと思います
恐らくスタンダードな手順だと、2回カードが通いますが
手法が異なっているために、マジックを見慣れた人も
思わず引っかかる的な手順です
カードを移動させるだけでしたらマリカと同じレベルで
やりやすいですので、リセットなどを考えなくてもいいのですが
2回通わせるとなると、少しだけリセットが必要になるので
ホッピングで演じるとなると、ちょっと頑張る部分が出てくると
思います
正直ほとんどこのワレットは販売されていません
どこかのメーカーで作られている物を見ましたが
あまりにもごつい感じで、あまりお勧めできる
クオリティではありませんでした
構造上かなり薄い革でないと製作がしにくいのかもしれません
ただ、手順としては凝ったものになり
ワレットへの移動が2回起こりますので、ショーなどでは
いいエンディングになるでしょう
どちらかと言えば、ヨーロッパで作られることが多いような
気がしますので、手に入れる際にはサイズにはご注意ください
ざっと4つのワレットをご紹介しましたが、これらのワレットの機構が
大抵のカードインワレットの機構のベースになっていますので
参考にしつつ、ワレットを買ってみてください
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