本当に2階席から見えたのか? ~照明や音響に関して~
いつ聞いたのか忘れましたが
こんなことを
聞いたことがあります
2階席の一番後ろからでも
本物のお札は
本物だと分かる
ステージで演技する時には
本物を使った方がいい
という事を表現するために使われる言葉です
もちろん僕も、この言葉を多用してきましたし、この理論を信じてきました
今も信じていますが、他のファクターが関わっていると
気づかせてくれました
先日の熱海のコンベンションの帰りです・・・
ゆうき、庄司、ふじい氏などと帰りが一緒で
コンベンション疲れで時々落ちながら、帰っていたときでした
正直、熱海のコンベンションは、演者泣かせの会場です
音響照明、特に良くなくって
音はしょっちゅう止まります
照明も、全く贅沢が言えない設備です
伝統ある会としては、いささか寂しい気がしていましたが
その理由も、とある質問への回答から少し氷解でした
この会ではステージに限らず、クロースアップでも同じように
見えにくい状態での演技だったそうで
「何年もやっているのに、何でなのでしょう?」
と、素朴な質問を3氏にしたのです
「まあ、分からないんじゃないの」
というのが、ざっくりとした答になります
話を少し戻して、お札が分かる、というのはどのマジシャンに対して
だったかわかりませんが、故石田天海氏に対しては
「遠くからでもロープの結び目が見えた」
という、逸話に近いものが残っているようです
もちろん、演者の手際や修練の部分がありますが
どうもそれだけではないわけです
実は以前に、カズカタヤマ氏の奥方であるMAYAKOさんからも
同じようなことを聞いていたことに、回路がつながりました
自分の演技が小さいんで、ステージに向かないんです
的な事を言ったら
「照明と音響をきちんとすれば、結構大きく見えるもんだよ」
と
その時には、そうなんですか~程度でしたが
今回の件を聞いて、納得です
2階席からお札が見えたのも、結び目が見えたのも
もちろん演者の力が十分ある前提で
「見えるように周りの状況を整えた」
というのが正解でしょう
例えば、座席は階段状になってステージを見やすくするものですし
照明も当て方次第で、かなり小さな物まで見えるようになります
コレ、明るくすればいいってもんじゃないんです
ハレーションを起こして、なんだか分からないってこともよくありますので
つまり、天海氏の演技が見えたのは、状況を整えてくれる人も
一級だったから、という部分を考慮しないといけないのでは?
というわけです
先輩3氏は、むしろそうでないと、演者が活きない
という考え方のようです
プロの世界で生きてきたのなら、当たり前のことなのかもしれません
「見えない」って、お客さんにとって、ストレスになるのです
そして、それは照明1つ、ちょっとした準備1つである程度まで
クリアが可能です
マジシャンは演者だけを見てしまいます
特にマジック好きなら、しょうがない
でも、プロフェッショナルになればなるほど
技術さんのパワー1つで、いかようにでもなることを体感しています
僕も裏方経験ありますので、そのパワーは分かっているつもり
ほんと、照明1つ音響1つでウケはいかようにも変わります
「見える」ようにすることは、不思議なことを起こす「以前」
と考えるプロフェッショナルと、演技を「する」事が第一義の
アマチュアの方となると・・・
なるほど、分からないでしょうねえ・・・という感じ
音響さん、照明さんは「スタッフ」でしかないんでしょう
でも、プロのパフォーマーのショーを見に行くと
最後には必ずといっていいほど聞く言葉に
「音響・照明のスタッフにも拍手を送ってください」
と演者は言います、そのパワーを知っているからです
マジシャンのパワーのみを、ある意味神格化してしまい
それ以外の人のパワーが目に入らないのは、ショー全体を作り出す際には
確かにマイナスですね
そんな差を理解しつつ、アウェーな状況下でも演技をする3氏に
ただただ敬服なのですが・・・
もし若いマジシャンを育てたい、というのなら
きちんとした状況で演技ができる場を作らないと、そりゃ育たんね
ともいえるわけです
舞台に立っても素敵な感情を持てないんですから
コンテストに出た人たちが、素敵な舞台だったと言えるような
そんな会場なら、皆さんもっと喜んでコンテストに出てくれる
のではないでしょうかね?
プロの方もそんなステージなら
喜んで演技をしてくれるのではないでしょうかね?
マジシャンは、プロもアマチュアも、もっと周りの状況に
目を配ってみると、演技がウケない・・・
なんてことに対しての改善策が、意外にすぐそこへあるのかもしれません
マジシャンを育てるって、実はそういったことも含めて
なのでしょうね
皆さんもステージ立つときには
自分がカッコいいと思う音響や照明、という事よりも
きちんと伝わるのか?ってことを
考えてみて下さい
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