台詞、会話、トーク 何が重要になる?
コロナの中、飲食店などでマジックを演じるチャンスは
各段に減ってしまいました。
まあ、まずはお世話になる飲食店が
普通に商売できるくらいにならなければ
そこでマジシャンを動かすってことには
ならないでしょうし。
ですので、様々な所に呼ばれる営業のマジシャンの方が
まずは仕事が戻ってくるでしょう。
クロースアップよりもステージなどから
お呼びがかかる可能性が大きいことも見えます。
さて、リアルの場で演技のチャンスがないなら
オンラインの場に人が移行してくるのも分かります。
人が増えれば意見も活発に行きかい
そういった場で知識の共有なども行われ
新しいものが生まれていくものです。
もちろん、プラスの事もマイナスのこともあるでしょう。
少しだけ違和感を感じたことがありまして
それが「トーク」という言葉でした。
プロの方への質問などで
「どうやったらトークを磨けますか?」
みたいなものがありました。
これに違和感を感じたのです。
まずは、この人の言う「トーク」って?
という部分を明確にしないと
色々とずれるような気がするのですが
あえてその辺はボヤっと行きたいと思います。
僕が「トーク」と聞いて思うのは
やっぱり芸人さんのフリートークのイメージなわけです。
ある種のスタンドアップコメディのような要素を持ち合わせ
自分が話を振られた際に、短い時間で
きっちり落として笑いを作り、次にパスする
みたいな。
正直、至難の業ですよ(笑)。
まあ、まさかそれをしようなんて思ってない・・・・ですよね?
って感じです。
僕らのようなマジシャンが、現場レベルで口にするもの
それも演技の際にお客様の前で話すことは
ほぼほぼ「セリフ」です。
つまりは、あらかじめほぼ完全に作られていて
繰り返し練習したものです。
どなただったか、完璧に作り上げない方がいいと言ってました。
僕もそう思いますし、最後のエッセンスとしてその場の
空気感が入るような余地を残したセリフがいいと思っています。
恐らく、芸人さんのフリートークも
実際にはこういったセリフの部分がこまごまとあり
十分に練られ、練習したものを、その場で組み合わせて
作り上げていると思います。
ですのでマジシャンなら、まずはマジックを演じる際の
「台詞」をしっかりと作っておくことが最初だと思います。
できれば紙に書き出して分かるようにしておき
足りない所は補い、余分な所は削っていく。
(恐らく削る作業がほとんどです)
プロマジシャンの演技を見て、話の部分が面白いなあ
と感じるのでしたら、それはきっちりとセリフになっているからです。
アドリブなどで言っているのではなく、間もテンポも
練習したから出来ているものです。
ええ、十中八九そうです。
同じ演目を100回見たら、100回ともほぼ同じことを
同じタイミングで、同じテンポで、同じ間で言っています。
(もちろんその場の空気は読みつつです)
もしそれを「即興のトーク」だと感じているのなら
まずは「マジック」を軽く見すぎているような気がします。
マジックを演じるだけでも、実際には非常に大変で
難しい所だらけなのに、その上「トーク」をして
相手を楽しませるなんて、ホント至難の業です。
だったら、得意なマジックの部分は山ほど練習し
ハードルを下げて、セリフもできるだけ作り上げて
相手がどう出るか、できるだけの準備をしておく
って言うのが、まずは現実的な仕事だと思います。
よくある大人な言葉で言えば
「段取り八分」
って感じです。
少なくとも、僕はそうしようと思いますし
そうしてきたつもりです。
そして、現場では十分に「セリフ」で対応できますし
「トーク」なんていう、才能が必要なものを
意識したこともありません。
こういうと、お客さんと何もしゃべらないの?
って言われそうですが「会話」はします。
ただこれって、普通に人と人が言葉を交わす
事ですので、難しいことも無ければ
特別なことでもありません。
同じ日本人なら、大抵は会話で意思疎通できます。
ただし、この「普通に言葉を交わす」ことができない人が
いるというのは、見かけます。
相手の言葉をきちんと理解できないとか、もっと言えば
話を聞いてないとか。
自分の事ばかり言っていたり、言っていることが
マジックの事ばかりだったり。
どうにもその人の中に、面白い部分(笑だけではなく)
が見えないので「この人つまらない」って
思われてしまうんです。
過ぎたるは及ばざるがごとし、とありますが
口下手な人よりも、上記のような人はマイナスの印象を
持たれてしまう可能性が高い気がします。
しゃべらないなら、プラマイ0かちょっとマイナ
位なもので、大きなマイナスにはならないはずですが
分けわからんことをずっと話されるとストレスでしょ(笑)
こういった状態なのに、「トークを磨く」って聞くと
ちょっと違和感を感じてしまうわけです。
マジックに関しての部分なら、きちんとセリフを作る
ってことがまずだと思います。
あまり褒められることではないですが、セリフまで完コピして
演じられるくらいまでになった方がいいと思いますし。
それで「ウケないなあ・・」というのでしたら
何かテンポや間が違っているか、もともとウケない手順です(笑)
いや、大抵は何かのバランスを欠いているからなんですけどね。
それを判断できるようになれば、もう完コピも無くなるでしょう。
そして、普通に会話できるようになることです。
僕自身はあまりおしゃべりではありませんが
マジックをしていない時には、1人の普通の人として
お客様と会話はします。
難しいことは考えません、1人の人間として
真摯に相手のことを聞いて、真摯に言葉をつむぐだけです。
まずはそれがあり、ほんのちょっとだけ「笑い」が生まれるような
ワードのチョイスをしたり、落としどころを考えたりです。
基本的にボケるよりも、ツッコミ役なので
相手が面白いことを言ったら、イイ感じに突っ込む
という事が多いと思いますが。
自分では「トーク」なんて洒落たことが出来ているなんて
思いもしませんし、できるとも思ってません。
まずはセリフの徹底、これでほとんど事足ります。
そして相手の話をしっかり聞いて、会話をすると心がける。
トークが面白い人になろう、というのではなく
普通に話していて多少面白い人になれば、十分だと思うんですよ。
某先輩が
「普段が面白くない奴が、マジックやって面白いわけないだろ」
と言う感じの事をおっしゃっていましたが
そうだと思いますし。
「トーク」なんてカッコつけたものではなく
普通の時からちょっとだけ楽しいとか笑いとかオチとか
考えてみてはどうでしょうね?
口下手な僕からの、ちょっとだけのアドバイスです。
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