接種理論
マジック以外の本を読んでいると
実に勉強になることがあります
人の心理に関して
時間とお金をかけて研究している
分野は意外に沢山ありますし
そんな本の中の1冊を読んでいて
興味深い言葉に出会いました
全く別分野のテクニカルタームです
「接種理論」というものです
この接種の意味は、まさに注射の接種
つまり、インフルエンザワクチンの接種とかと
全く同じ考え方です
どういうことか?
予め相手の頭の中に、ある種の接種をすることで
その後の反応を、強くさせる
というもの
ココだけを読むと、何のこっちゃか分からない感じですが
僕自身、この章を読んでいて思ったことがありました
マジックのオープニングのトークに
この接種理論を使うことで
相手の行動をある程度コントロールできるのではないか?
ということです
実際には、経験的にこういったセリフ回しにしている方は
沢山いると思いますが
知識として分かって行うことで、ヒット率を上げるというか
より効果的になるはず
では、接種理論とはどういうものかと言えば・・・
全部で3段階のステップがあり
1:切迫した攻撃が来ると、注意を促す
2:弱い攻撃を仕掛ける
3:強い守りを促す
つまり、最初に何らかの軽いアクションを相手に仕掛けると
その後の反応が大きくなる、ってことです
ワクチン接種をすると、その後で抗体が出来上がり
守りが強くなるってこと
こういった心理が、人には働くわけです
だったら、これを利用しない手はないわけです
ちょっと具体的な状況を考えてみましょう・・・
マジックをするために、テーブルに入りしました
マジックをしてもいい空気になったとして
次に思うことは、マジックをみて欲しいってことです
この時に、みんなの視界を狭めてしまうくらいに
小さなものを使うっていうのも1つです
誰か一人の手に、小さいコインとかを乗せて
そこでマジックするとか
僕は感覚の遮蔽と言っています。
視覚情報を区切ってしまい、他の感覚を遮蔽します
これも一つの手です
言葉で見てもらうことを強化するなら・・・?
まずは弱い攻撃が来ることを促すわけです
僕がよく言うセリフに
「心の準備はよろしいですか?」
というのがありますが、これなどまさにでしょう
そして少し弱い攻撃をするのですが
目的としては「マジックを見てもらう思考になってもらうこと」
ってことでいいでしょう
つまりは、凝視することを相手の反応として引き出せば
いいわけです
例えばですね・・・
「小さな奇跡を御覧に入れたいと思いますが、もちろん種も仕掛けもあるものです」
位でどうでしょうか?
目の前でマジックするぞ!
そこには種も仕掛けもあるぞ!
みたいな感じで、軽く攻撃していっていますよね?
だとすると、その攻撃に耐えられるように、みんな視覚に
意識を向けるはず
この時に、セリフを相手の目を見ながら言っていたら
余計に相手の視覚をコントロールできるようになるでしょう
正確には、相手の意識を視覚情報に集中させるって感じですが
セリフとして全く不自然なものではないと思いますが
こういったことを、意識的に仕掛けていくと
実にうまくマジックが進む可能性が上がるわけです
接種理論を、ぜひうまく活用してみてください
ちなみにですが
このテクニックは社会心理学的な物で、実は広告などの分野でも
利用されている物
人の思考や感情を変化させて、購買させるという分野に
関する研究は、実に多くのお金と時間をかけて検証されています
接種理論も、その一つ
どのような心理から、相手がレスポンスをするのか
学んでみたい人はこの本を手に取ってみてください
↓
残念ながら、普通の本屋さんでは販売されてない本です。
マジックを演じる時だけではなく、マジシャンとして利用できる
心理技術もあると思います
ま、あんまり多く人に知れ渡らなかったり
買われない方が、僕にはありがたいんですけどね(笑)
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ミキティ | 2016年12月21日