ご質問に関して:エフェクトの強さ
「あまり強烈過ぎないマジックを
選んでいるというようなことを
小林さんがどこかでおっしゃってたように
思うのですがどうしてなのでしょうか?
不思議で強烈な方が
いいような気がするんです。」
ご質問ありがとうございます。
まず、僕がこのようなことを言っているのか、に関しては
Yesです。
エフェクトはできるだけ弱くしておいた方がいい
ということは、主にメルマガで(裏メルマガで)書いていることですね。
コンテンツとしては、庄司さんの
「裏・接客の魔法」
をご購入いただいている方は、その理由はお分かりでしょう。
最後の方で、このトピックに触れていますので。
大事なのは
「理由がわかる」
ということで
「それを受け入れる」
かどうかは別問題ですから
裏接客にちょっと触れてしまいますが、なんでエフェクトを弱くするのか
考えてみましょう。
少なくとも、僕がマジックを演じることは「仕事」です。
誰かにマジックを演じた際に、また次に呼んでもらったり
次につながらないか、少なからず考えます。
誰かマジックを見てくれた人が
何かのきっかけでマジック(マジシャン)を使ってみよう
となったとして、どういった手順で働きかけようとするでしょう?
まずは、記憶をたどりますね。
名刺でももらっているなら、それを頼る。
そうでないなら、知ってそうな人とか、見たお店に再度行く。
で、どうやって、マジシャンを同定するかといえば
「現象」なんですね、現実的には
ペットボトルにカードを入れていた人
レモンにカードを入れた人
コインをデカくした人
お札を一瞬で変化させた人
この時に「マジシャン個人」は全く出てこないことがほとんどです。
そのために「エフェクトができる」マジシャンで「単価の安い」人に
仕事が行くのは目に見えています
これが悪いのではなく、最初から「マジシャン○○」として
記憶に残るようにしていないわけです
残念なことに、これは
強力なエフェクトになればなるほど
そのエフェクトの記憶しか残りません
次のことを考える必要のない、お仕事でマジックをやっていない人には
あまり関係のない事柄になってきてしまうのですが
マジックが食い扶持にであるプロマジシャンにとっては少々
厄介な事柄になってくるわけです
自分が、パワフルなトリックをすればするほど
誰かに仕事が行ってしまう可能性が生まれるわけですから
ではどうするのか?
簡単に言えば、エフェクトを弱くする
そして「マジシャン」が前に出るようにする
こうすれば、見てくれた観客はマジシャンを覚えてくれるはず
つまり、マジシャン自身を覚えさせる必要がないなら
パワフルな現象をやっても、問題はないってことです
これが理由ですかね
ああ、解決方法はほかにもあるんですよ
「エフェクトに負けないマジシャンキャラクターを作る」
ってことです
キャラが立っているなら、ある程度パワフルなものを演じても
そのトリックに飲み込まれないでいられるってことです
例えば、マリックさんなどは、正直
「なんかやれそう」な感じが満載ですよね
マックスメイビンなんかもそんな感じ
相当不思議なことをやっても、頭の中では
「・・・いや、あの人なら、本当にやれそう」
って、思うんじゃないですか?
でも、もし同じようなことを
漫画家・蛭子能収氏がやったら
「メカでしょ?」とか「サクラじゃない?」って
一瞬で言われると思いますよ
それって、プラスですかね?
あとですねえ・・・
マジックを演じていて、場が「シーン・・」ってなること
ありませんか?
これ、個人的には2パターンあって
1つはギャグが滑ったとき、2つ目はエフェクトが強すぎた時
どっちにしても、背中に脂汗が垂れる瞬間です
どうやって取り戻そうか、必死に考えます
ギャグはともかく、なんでエフェクトが強すぎるとシーンってなるのか?
簡単に言えば、相手が求めていないんですよ、そういったものを
これ、プロとしては、だめですよね
相手に求められているものを、きちんと提供しなきゃいけないのに
それができてないんですから
だったら、エフェクトは弱めて、自分を出して
きちんとリアクションをもらって、相手の記憶に自分を残す
ことが大事です
不思議が強いと、相手の頭の中が「?」で
いっぱいになります
節度のあるプロマジシャンって、それを望まないんですよ
「?」の濃度が強すぎると、観客は楽しめないので
これ、観客にマジシャンが多いなら、別にいいんですよ
耐性ができている人たち相手なら、多少強めのパンチを打ち込んでも
いいのですが、一般の方相手には、僕らが「普通」と思うものは
大抵強すぎるのです
だから、意図的に、意識的に「弱くする」作業が大事になってきます
こんなところでしょうか?
そうそう、もう1つパワーを減らさなくても大丈夫な方法が
「覚悟をするんです」
相手の記憶に「自分が残らない」ことを
マジシャン個人を売るのではなく、マジシャンであることを売る
そんな感じでしょうかね?
正直、僕はそれに近いと思います
実際には結構パワフルなエフェクトを行いますので
でも、それを軽く見えるように意識はしています
以前庄司さんが演技見てみたときに
「もったいないねえ」
と言っていましたが、それは強烈なのに、軽く見えるから
ということです
多少意識的に軽くしているんですけど、人によっては
無意識で軽く見える、という人も
これが一番もったいないんですけどね
ま、エフェクトのパワーとマジシャンとしてのスタンス?
のようなものは密接に結びつきます
自分に合わないトリックを演じると、大抵はトリックのエフェクトに
飲み込まれますので
その点はちょっと冷静に、判断できるようになるといいですね
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