演技のセリフ:コールドリーディング的な考え
僕のファーストDVDである
「プラクティカルクロースアップ」に
「Sandwhich with ease」という
トリックがあります。
相手が自由に選んだカードを
相手の選んだエースが移動し
サンドイッチする(したように見える?(笑))
というカードマジック
実際に演じていたものですし、今でも演じるもので
できるだけ自分のスタイルや得意なテクニックで
構成してあるもので、マジックの愛好家の方には
歯ごたえの無いトリックなのかもしれませんが
実際に、現場で演じてきたものです
先人たちの知恵をお借りして、ある程度きちんとした
作品になっているとは思います
個人的にオリジナリティって物には、あまり興味がないので
その点は強調しませんが
で、この時のセリフとして
見えない移動を表現した後に
「・・・もし見えた方は、良い病院が・・・」
などと言っていました
これもまた、僕のオリジナルなどではないでしょうし
僕の認識では、非常にベタなセリフ回しなのだと思ってました
(その点に関しては、今でもそう思っていますが)
実際に笑いの来るタイミングなので、ウケるセリフなのだと
思っていたのですが、若かりし頃このセリフに関して
注意をしてくれる方がいました
「洋介、そのセリフは言わない方がいいなあ」
もちろん、その理由は分かります
少々とげのある言葉ですので、カチンとくる人もいないとも限りません
とはいえ、若かった僕は、そのままのセリフで演じ続けました
年も取ってきて
「言葉で説明するのではなく、相手の頭の中で構築してもらう」
ということに、興味が向くようになり
セリフの量は少々減ってきて、しかも相手に想像を促す
ということを意識するようになりました
見えない移動をさせえた後に、僕は相手を見て
軽くほほ笑む、という言葉をあまり使わない
演技をするようになりました
自分の演技しか見えてないときって、どうにもセリフが多かったり
余計な説明したりってことが多いものです
逆に極端に説明不足ってこともありますが
こういったことが起こる理由は簡単で
「相手を見てない・考えてないから」
です
逆を返すと、自分のやることにいっぱいいっぱいってことで
他に意識が行ってないということ
さて、そんな変遷をたどりつつ、今思うことは
相手に楽しんでもらう・面白がってもらう事
本当は「不思議さ」ってその手段に過ぎないわけです
そうなってくると、相手にとってとげのあるようなセリフではなく
少しでも気分良くなってもらうような、そんなトリックに仕立てられれば
よりプラスですよね?
だって、その方がきちんとお金払ってくれるでしょうし(笑)
最近読んでいる、マジシャン向けのコールドリーディングの本に
そういったことが書かれていて
でも、その本って、四半世紀前に書かれている冊子なのですよ
セリフに関して注意した方がいいことは、おぼろげに理解できても
その理由まではっきりと言ってくれた先輩はいなかったなあ
あらゆるトリックにおいて、コールドリーディング的な手法を取り入れ
相手気持ちや感情をプラスの方向へ持っていく、ってことは
マジシャンの意識一つでできるはず
相手の心の中で体験したものは、記憶に残るでしょうし
そんなマジシャンは、すごい人にもなっていくでしょうから
トリックのセリフ1つ、ちょっと意識してみていいんじゃないでしょうか
ああ、ちなみに
「・・・もし見えた方は、良い病院が・・・」
というセリフが全面的に良くないわけではありません
キャラクターと合っていて、相手の心に起こる感情の波を
きちんと吸収しきれるというか、コントロールできる方なら
問題ないわけです
そうですねえ・・・例えば
実際に本人が医者で
そういったことを言っても「言いそう」って雰囲気があって
全てを戦術としてコントロールできる知性をお持ちの方なら
このセリフは何ら問題ないものになるのではないでしょうか?・・・
なんとなく、特定の方をイメージしてしまった・・(笑)
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